Kalamazoo KHGN-12<1941>【Pickguard】

1941年製のKalamazoo KHGN-12のピックガードは、ファイヤー・ストライプ。KHG-14の項でも触れているが、ピックガードの文様では、個人的にはこのファイヤー・ストライプが最も好きだ。
まさに、炎がゆらゆらと揺らめくような、動きのある文様は、戦前のギブソンのひとつの象徴的な仕様だ。大恐慌時代とかぶる、1930年代半ばから1940年代に特有のもので、ワイルドで動的な様子が、何とも言えない味をトップの表情に与えている。
フレイムの形状や、フレイムが流れる方向などはすべて、以下の画像、KHG-14のピックガードに酷似している。黒つまみのクルーソンのペグなどからも、同年の1941年の製造であることがほぼ推察できる。

プリウォー(戦前)モデルに特徴的なファイヤーストライプのピックガードから、いつも思うことを、ひとつ。
第二次世界大戦に突入する直前、カラマズーのファクトリーで職人たちがこつこつと作り上げていたギブソンとカラマズー。これら、今はプリウォーと呼ばれるギターたちが世に出た直後に世界は大戦へと突入、ギブソンの職人たちも、軍需関係の業務を強いられていく。時代の空気が切迫していく中、職人たちは何を思い、ギター製作にあたったのだろう。皮肉なことに、炎は、戦禍を連想させもする。炎がピックガードの文様だけでとどまらくなってしまった時代に、このギターはつくられたのだ、と思うと、歴史の重み、時の流れの重みを感じる。
誠に口幅ったいが、私たちは歴史の「生き証人」である希少なプリウォーモデルを、「購入して所有」するのではない。我々がこの世を去っても、このギターたちは生き残っていく。いや、文化遺産として生き残らせるべきだ。我々は一時的に、この「生き証人」たちをお預かりし、その素晴らしさを味わい、プレーさせてもらっているだけなのだと思う。ヴィンテージギターの権威、ジョージ・グルーン氏は言っている。「ギターに自分の名前を刻んだりするのは厳に慎まねばならない。貴重なギターは文化遺産なのだ」。まさに至言であると思う。
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