L-30<1930's>:Very rare prewar arch-top guitar with flat-backのカテゴリ



Last 4 photos by courtesy of Stringphonic Guitar Company
戦前の1935年から43年にかけてのみ製作されていた、最も小さなギブソン・アーチトップ、L-30。このギターは当初のブラックから仕様変更されたサンバースト・カラーを身にまとっており、1937年以降のものだと思われる。
L-30は「キング・オブ・ザ・ブルース」と称されるブルース・ギターの王様、B.B.Kingが初めて手にしたギターとして知られる。B.B.Kingは機種が変わっても、メーンで使用するギターに「Lucille(ルシール)」のニックネームを付けて、今なお愛し続けているが、「初代ルシール」は、DeArmond社製のピックアップを取り付けたL-30だった。
B.B.Kingが彼の愛機、L-30に「ルシール」と愛称をつけるまでの逸話は、あまりにも有名だ。
それは第二次大戦後間もない、1949年のこと。彼は当時、アーカンソー州の小さな街、トゥイストでよくプレイしていた。この街はとても寒く、店の中央にドラム缶のようなものを置き、そこで様々なものを燃やして暖を取っていた。客は火の周りに集い、歌ったり、踊ったりしながらライブを楽しんでいた。
ある夜、2人の男が店内で喧嘩を始めた。1人が殴りかかり、パンチを受けた男は床に転げた。その弾みで火のついた缶が倒れ、床に火が回った。火災発生。B.B.や客は、みな出口に殺到した。外に出たとき、B.B.は自分のギター、L-30を店内に置き忘れてきたことに気がついた。火の手は予想以上に速く、建物は焼け落ちそうな状態だったが、B.B.は火の海と化しつつある建物に決死の覚悟で飛び込んだ。そして、L-30を抱え、何とか脱出した。「私は自分の命を賭けて、このギターを救ったんだ」
翌朝になって、2人の男は、1人の女性をめぐって喧嘩していたことがわかった。その女性の名前が『ルシール』だった。B.B.は、二度とあんな危険なことはすまい、と心に誓い、この出来事を忘れぬため、愛するL-30に「ルシール」と名付けたのだった。
「あの『ルシール』第1号は、今はもう持っていない。あのギターがあればなあ、と思うよ。残念なことに、盗まれたんだ。誰かが、私の車のトランクをこじあけて盗んでいったんだよ」
「ブルースの王様」が長いキャリアの起点で初めて手にしたギブソン・メイドのギター、”ルシール”L-30。まさにL-30は、ブルースの歴史に、その名を刻む1台なのだ。
ギターの説明に戻る。L-30のシェイプは、フラットトップのL-00などと同様のテンプレートを用いて作られており、14インチ3/4の横幅で、非常にスリムだ。1930年代の特徴であるフラットバックの「後ろ姿」は、言われなければフラットトップの人気機種、L-00やL-0と誤認する人が、かなりいるだろう。
スプルースの単板削り出しトップに、美しい文様が浮き出たフィギュアド・メイプルのフラット・バックを持つ「アーチトップ・フラットバック」の独特の構造は、戦前もの、プリウォー独自の仕様で、小さなボディながら、十分な音量を誇る。サイドにはタイガー・ストライプが浮き出たフィギュアド・メイプル。ネックはホンデュラス・マホガニーのワンピース、指板はハカランダ、ブリッジはストライプド・エボニー(縞黒檀)と、材の選択は、廉価版のギターであっても一切、妥協がない。プリウォーのギブソンの特徴である。
L-30はその構造通り、フラットトップの鳴りの豊かさと、アーチトップの歯切れの良さを合わせ持つ。プリウォーのギブソンの凄さをかいま見ることができるモデルで、ジャズ・ブルース、ラグタイム、カントリーブルースといった音楽をプレーする上で最適の1台である。
この1台は、戦前の1930年代の製作ということが信じられないほど、奇跡的な美しさを保っている。ペグ、ナット、フレット、エンドピンに至るまで、完全なオリジナル状態をキープしている。リペア痕やクラックは一切なく、ニトロ・セルロースのラッカーで仕上げられた塗装は、艶をたたえて艶(なま)めかしい。よくぞ、これだけ素晴らしい状態で生き残っていてくれた、と思うほどだ。ハワイ在住のコレクターがオリジナルケースに保管して所有していたもので、ニアミント、もしくはミント-(マイナス)と言えるコンディションである。ネックなど、プレアビリティに関しても完璧な状態で、まず、今後二度と出会えることのないウルトラ・レアな、超極上のL-30である。
1930's quartet:1930's Gibson L-30,1930 Martin0-18K, 1937 National Duolian formerly owned by Tokio Uchida,1936 Gibson made Recording King Carson J. Robison model 1281

愛すべき、古き良き時代のギターたち。今回は、ギブソン・メイドを含む1930年代製の4台を弾き較べて、個人的なインプレッションを綴ってみる。
L-30<1930's>【Head stock】

1930年代後半製のL-30のヘッドストックは、戦前特有の、サイド部分が直線的に処理されているprewar style(プリウォー・スタイル、戦前スタイル)だ。
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L-30<1930's>【Peg】

1930年代後半に製作されたL-30のペグは、クルーソン社製の3連ペグ。メッキの状態もすこぶるよく、新品同様の状態を保っている。社名はペグを支える四角いプレート部分の裏に刻まれている。まだ「パテント申請中」の文字が見て取れる。
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L-30<1930's>【Neck】

1930年代後半に製作されたL-30のネックはHonduras mahogany(ホンデュラス・マホガニー)。極めて良質な柾目の材で、廉価版でも手抜きがなかった戦前のギブソンらしさがうかがい知れる。
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L-30<1930's>【Bridge】

1930年代後半に製作されたL-30のブリッジは、ストライプド・エボニー(縞黒檀)をベースとしている。
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L-30<1930's>【Pickguard】

1930年代後半に製作されたL-30のピックガードは、セルロイドを削りだしてつくられたものだ。
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L-30<1930's>【Side】

1930年代後半製のL-30のサイドは、ハードロック・メイプル。バック同様、単板をブックマッチで木取りした材を使っている。
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L-30<1930's>【Back】

1930年代後半に製作されたL-30のバックは、ハードロック・メイプルの単板をブックマッチで使用したフラット・バックだ。バーズアイや玉杢のような文様が浮き出たフィギュアドの材で、非常に美しい。
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