L-30<1930's>【Head stock】

1930年代後半製のL-30のヘッドストックは、戦前特有の、サイド部分が直線的に処理されているprewar style(プリウォー・スタイル、戦前スタイル)だ。
下の画像は1931年製のL-0のヘッドである。比較していただくと、似ているところと、異なっているところが浮かび上がってくる。

まず、同様な点は、全体の形状だ。サイド部は、現在のギブソンに見られる、内側に弧を描いて削り取られている形ではなく、ストレートなラインを保っている、プリウォー・スタイルである。
ロゴは、prewar script logo(プリウォー・スクリプト・ロゴ)と呼ばれるもので、これも同じ。スクリプト(筆記体)でGibsonと記されている。シルクスクリーンを使い、白い塗料で黒いヘッド部に文字を浮かび上がらせている。
異なっているのは、ペグのブッシュ。L-0では、ペグポストを支える外周部分が半円形の形状で、鋼板がプレスされただけの薄いハトメだが、L-30は外周が六角で、ペグのポスト寄りの部分が円形状に盛り上がった二段の立体的な形で、ブラス(真鍮)の削り出しである。プレスされた円形のハトメは戦後のギブソンの廉価版ギターにも一貫して使われていくが、外周が六角の形状のブッシュは、ほどんと戦前物にしか見あたらない。
手に取ってみると、鋼板をプレスしただけのものより、かなり重量感があり、パーツとしての精度が高い。外観的にも、六角のかっちりとした印象がヘッドの表情を引き締めて、硬質なムードを醸し出している。円形ハトメはもうすこし、まろやかな印象だ。剛性感も質量も高く、ペグのシャフトをがっちりと支えており、このギター特有の締まった音に、小さくない影響を与えていると思われる。
あと、異なるのはトラスロッドカバーの長さだ。L-30のそれは、近年のギブソンに通ずるものがあるが、L-0はご覧のように、上下にかなり長い。上端が2、5弦のペグポストの近くまで来ている。おそらくトラスロッドの仕込みの関係で、ヘッド部のざくりが長くなっているためであろう。

ご参考までに、以上の画像はkalamazoo KHG-14のヘッドである。全体の形状はL-30、L-0と同様だが、トラスロッドがないため、当然のことながらトラスロッドカバーがない。また、ブッシュはL-0同様のハトメ式だが、外周の半円形部分が分厚く、結果として外周が大きくなっているのが見て取れると思う。
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